月夜の晩に高台に登る
すぐ下には田んぼが広がる
所々に民家の灯りが点々としている
遠くに街の灯りが見える
月が田んぼに引いた水に映っている
蛙がけろけろと鳴いている
遠くの街のほうからガタゴトと電車の音が
暗闇の中を伝わってくる
3両編成の電車の窓の灯りがだんだんに
近づいて来た
灯りの中に所々に人影が見える
向かい合わせの席に座り
本を読んでいる人、居眠りをしている人、ぼんやりと外を眺めている人
田んぼを分けるように電車の窓の灯りは通り過ぎていく
電車の窓の灯りがまた田んぼの中を遠ざかっていく
最後の車両の赤いランプがだんだんと小さくなっていく
ピーという汽笛を鳴らして電車は遠ざかっていく
また蛙の声だけが聞こえてくる
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